禁煙マスター JAENESKO

5️⃣ 煙のない喫煙所 - 第五章 専門窓口

プレミアム ・ 禁煙文学部 ・ 2026-07-08 ・ 2分

「話が違う。大切な時間は使わないと言ったじゃないか」

N氏は、店に苦情を言いに行った。

「話が違う。大切な時間は使わないと言ったじゃないか」

店員は、少しも困った顔をしなかった。

「お客様が大切に扱った時間は、使われません」

「娘との約束を楽しみにする時間が消えた」

「楽しみにしておられましたか」

N氏は口を閉じた。

楽しみにしていた、と言いたかった。だが、その約束を聞いた時、自分はおそらくスマートフォンを見ていた。返事だけして、内容を覚えていなかった。楽しみにする前に、どこかへ置いてしまったのかもしれない。

店員は、奥の扉を指した。

「ご心配でしたら、専門窓口へどうぞ」

奥には、小さな待合室があった。そこには、何人かの客が座っていた。中年の男、若い女、年配の夫婦。みな同じ銀色の箱を持っていた。

この記事の続きと、他102本の記事はアプリで読めます。

App Store で見る

同じジャンルの記事