7️⃣ 煙のない喫煙所 - 第七章 最後の商品
数日後、N氏のもとに一通の封筒が届いた。
数日後、N氏のもとに一通の封筒が届いた。
差出人は、未来煙草の会社だった。
「長期ご利用のお客様へ」
中には、金色の細い箱が入っていた。説明書には、こう書かれていた。
「最終煙草。喫煙にまつわる欲求そのものを、きれいに燃やします」
N氏は眉をひそめた。
都合がよすぎる。
説明書は続いた。
「本商品は、お客様の中に残る喫煙の記憶、憧れ、習慣、口寂しさ、言い訳などを、一本で処理します。使用後は、煙草を必要としない状態に近づきます」
そんなものがあるなら、最初から売ればいい。
そう思った時、説明書の最後の行が目に入った。
「ただし、喫煙にまつわる楽しかった記憶も同時に失われます」