⚖️ 「有害物質が少ない」と「安全」は違う。IQOSをめぐる最大の誤解
IQOSを語る時、よく出てくる言葉があります。
IQOSを語る時、よく出てくる言葉があります。
「紙巻きより有害物質が少ない」
「煙が出ない」
「燃やしていない」
「FDAが認めた」
こうした言葉は、一見すると説得力があります。けれども、ここに大きな落とし穴があります。
**曝露が減ることと、病気のリスクがどれだけ減るかは同じではない**からです。
FDAが認めたのは「曝露の低減」まで
米国FDAは2020年、IQOSについて「紙巻きたばこから完全に切り替えた場合、特定の有害または潜在的有害化学物質への曝露が大幅に減る」という“reduced exposure”のマーケティングを認めました。しかしこれは、「安全」「無害」「病気リスクが確実に下がる」と認めたという意味ではありません。FDAの決定は、完全切替による曝露低減表示を許可したものであり、リスクがなくなるという許可ではありません。
この違いは、読者に丁寧に伝える必要があります。
「半分」は「安全」ではない
たとえば、塩分を半分にした食品があったとします。塩分は減っているかもしれない。でも、その食品を毎日大量に食べれば健康的とは限らない。同じように、有害物質の一部が少ない製品でも、長期使用で実際の病気リスクがどう変わるかは、別の検証が必要です。
BMJ Tobacco Controlに掲載された加熱式たばこに関する系統的レビュー・メタ分析は、加熱式たばこが健康影響をどの程度変えるかについて、より長期で質の高い、たばこ産業から独立した研究が必要だと結論づけています。とくに、現存する研究には短期・小規模・産業資金の影響という限界があるとされています。
いま言えること
つまり、IQOSについて現時点で言えることは、こうです。
紙巻きと同じではない。
曝露が減る可能性はある。
しかし、安全とは言えない。
長期的な病気リスクはまだ十分にわからない。
そして、最も健康によい選択は、たばこ製品を使わないこと。
この整理が、禁煙メディアには必要です。
なぜなら、喫煙者は「少しまし」という情報を、しばしば「もう大丈夫」に変換してしまうからです。
紙巻きからIQOSに変えた人を責める必要はありません。そこには、健康への不安、家族への配慮、においを減らしたい気持ちがあるはずです。ただし、そこをゴールにしてしまうと、禁煙の機会を逃します。
IQOSは「禁煙」ではなく「切り替え」
伝えるべきメッセージは、こうです。
IQOSは「禁煙」ではなく「切り替え」です。
切り替えたなら、次は「完全にやめる準備」へ進む。
紙巻きより少なそうな害を探すより、ニコチンに縛られない生活を目指す。その視点を失わないことが、IQOS時代の禁煙コラムには欠かせません。